例えばこんな座標変換

物理の問題で粒子の物理的な位置ではなく,速度を追跡するシミュレーション技法が存在します.
その際に,様々な座標変換が考えられていますが,プラズマのように磁力線に巻き付く粒子を追跡したい場合は次のような座標変換を考えます.
磁力線の方向をz軸として,
v=v_{x}^{2}+v_{y}^{2}+v_{z}^{2},u=\cos\theta=\frac{v_{z}}{v}=\frac{v_{\parallel}}{v},\phi=\arctan\left(\frac{v_{y}}{v_{x}}\right)
と取ります.すると,この変換(仮に\psiとします)のヤコビ行列は
D\psi=\begin{bmatrix} \frac{v_{x}}{v}&\frac{v_{y}}{v}&\frac{v_{z}}{v}\\ -\frac{v_{x}v_{z}}{v^{3}}&-\frac{v_{y}v_{z}}{v^{3}}&\frac{1}{v}-\frac{v_{z}^{2}}{v^{3}}\\ -\frac{v_{y}}{v_{x}^{2}}\frac{1}{1+\left(\frac{v_{y}}{v_{x}}\right)^{2}}&\frac{1}{v_{x}}\frac{1}{1+\left(\frac{v_{y}}{v_{x}}\right)^{2}}&0\end{bmatrix}
のようになります.
計量テンソルは,
g = D\psi D\psi^{\rm T}
で求められるので,計算していくと対角成分以外は0となり,
g^{11}=1,g^{22}=\frac{1}{v^{2}}\left(1-u^{2}\right),g^{33}=\frac{1}{v_{x}^{2}}\frac{1}{(1-u^{2})}
上のような成分が求められます.
しかし,M.N.Rosenbluth[PHY REV 107,1(1957)]によると,g^{33}\frac{1}{v^{2}}\frac{1}{(1-u^{2})}となるはず…
うーん.計算は合ってるはずだから,座標変換の仕方がまずいのかな?; ̄ロ ̄)

余談ですが,uはピッチ角と呼ばれるプラズマ粒子の重要なパラメーターです.磁気ミラーによって補足されるかどうかの判定に用いられたりしています.