波束中心を求めるのにkで編微分する理由

まず、波束とは何かを定義します。

波束の定義
Def : \int^{\infty}_{-\infty}{g(k)\exp^{i(kx-t\omega)}}dk
ここで\exp項は波の表現。g(k)は適当なピーク関数。kは波数を表します。

つまり、波束とは「様々な波数をもつ波を足し合わせたもの」とみることができます。
次に下の条件を仮定します。ここが一番本質的です。

hypothesis
古典力学最小作用の原理波動力学では「波の位相が極値をとる」ことに相当する。

この仮定を認めてしまうと後はこじつけだけになってしまいます。
この仮定から次の系

Prop.1.様々な波を重ね合わせた場合、その和は波の位相が極値を取るものだけが残る

が導けます。
(非常に直感的ですが。しかし多くの量子力学の教科書ではこの部分を波束をフーリエ変換するさいに誤魔化していることを考えるとこう言いきってしまった方が土台がぐらつきません)
このとき、注意したいのは何を和の基準にするかで極値が変わるということ。
例えば、波束の場合は波数を基準にしていますから「波数の極値」ですし、xを基準にしている何かを定義するなら「xの極値」でしょう。

Prop.1.から

Prop.2.波束の中心位置は、波の位相が極値をとる場所である
because:残っている波が位相が極値をとるものだけなので

がいえます。

で今回の場合位相部分を見てみると、

i(kx-wt)で位相自体はk,x,tに依存しています。
どの変数の極値を取るのかは悩みますが、波束自体が「波数で波を区分している」ことを考えれば、kで微分することが自然です。
でkで微分,0と置いて結論を得ます。

Remark.1.波束の中心位置は、i(x-\frac{\partial{wt}}{\partial{k}})=0を満たすx=x0なる点のこと

つまり

\exists{x_0}, @ x = x_0,\frac{\partial{-(i(kx-wt))}}{\partial{k}} = 0 \Rightarrow x = x_0は波束の中心
が言えました

次に群速度を定義します。

群速度の定義
Def:波束の中心位置を時間微分したもの

こう定義するとRemark.1.から自然に

Prop.3.群速度は\frac{\partial{x}}{\partial{t}}=\frac{\partial{wt}}{\partial{k}\partial{t}}

が導けます。


一番のごまかしは大本として

hypothesis
古典力学最小作用の原理波動力学では「波の位相が極値をとる」ことに相当する。

を仮定としておいていることでしょうか?
多分、これ仮定じゃなく現実に即した定理です。本当の仮定はもう少し先にあると思います。
これを数学的にきちんと定理として表現できることが解析力学の強みなのでしょうが、僕にはまだそんな力はありません。
だれか、波動の作用を導いてくれ…!!

Web上のものでは次のものを参考にしました。

量子力学の基礎 http://2ch.to/2A7COjANqsSIUWEOAwYMaS 2010-10-31
初等量子力学 http://2ch.to/7MgFu7a9HO6cQoqmM4egkY 2010-10-31